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松井冬子さんが気になる [おでかけ]

松井冬子展を観に横浜美術館へ行ってきました。
これはどうしても一人で行きたかった展覧会。
女性が内蔵をさらけ出している様は、なんだか夫に観られたくなくて…。
(絵ではあっても、そんな状態の女性を男性には見て欲しくないような気持ち。)
RIMG0893.JPG


女の情念を描いている点も同様。
内に秘めた女の怖さを見られたくないとでも言うのかな…。
「気持ち悪い絵だね。」と一刀両断されるのも恐ろしく、気軽に友人を誘う気にもなれませんでした。


超絶美人日本画家の松井さん。
しかしその作風たるや…。
「なんでこんなベッピンさんが、こんな絵を書かずにいられないのだろう。」という疑問。
完璧な化粧や和服で、まるで鎧のようにビシッと「女」として武装している様にも興味があって。
作品そのものより、作者ご自身がどんな方か知りたくなったのです。
いったい何をそんなに守りたいんだろう。
どんな痛みやトラウマを抱えているんだろう…。
彼女の抱える闇の部分が気になってしょうがなくなりました。


歌手にしろ、アーティストや作家にしろ、作品に興味を持ってもらうのは大歓迎だろうけど…。
プライベートに興味を持たれるのは大迷惑だと思うんですよね。
しかし気になってしまいました、松井さん。
(本まで買っちゃった)
RIMG0894.JPG


作品達は「痛み」「恐怖」「狂気」といったテーマで描かれていますが…
不思議な事に見ていても心は穏やかなものでした。
「浄相の持続」では、内蔵をさらけ出してはいるけど、痛がっている様子は描かれていない。
「世界中の子と友達になれる」の女の子は耳か目が不自由なのか?
周りの大量の蜂には気づいて無さげだったり。
「転換を繋ぎ合わせる」に至っては、骸骨の中を蛇がうねっているのにとても穏やかな雰囲気。
いまその場で痛がっている様子を描いていない事から来る安心感??


日本画の線の細やかさに驚きました。
油絵だと上からどんどん色を塗り重ねていけるけど…
こちらは一発勝負。
描く時の緊張感はものすごいものがあるんだろうなと。
双頭の蛇を描いた作品の精密さに、しばらく目が離せませんでした。


自尊心、過剰な自意識。
他者との関わりの中で疲弊していく精神。
一人でいる方が楽なら、殻の中に閉じこもっていても良さそうなのに。
ここまで痛みを放出して描いているのは、本当は人間が大好きな方なんじゃないかなぁと。
美女の鉄壁の鎧をまといつつも…
その実、中では幼い少女が「ありのままの私を愛して!」と叫んでいるかのよう。


人は人を見た目で判断します。
特に男性ってそんな人が多い気が。
松井さん、枕詞のように「美人の〜」が必ず付くのをアホや〜ってあざわらってるんじゃないかなw
(私もその美しさと作品のギャップに興味を持った口ですが。)


人っていろんな事で傷つきますよね。
私の子育てネタだって、子供がいなくて悩んでる人を傷つけてるかもしれない。
不妊治療で娘を授かり、流産や二人目の治療の断念なんかも経験。
昔、妊婦さんがズラーッと並んだオムツのCMを見るのが辛かったこともあったのに。
今は子育ての楽しさを見せびらかしたりしてる。
食べ物ネタだって、食べたくても食べられない人を傷つけてるかも。
松井さんは何からそんなに傷を負っているんだろう。


何を書いてるかサッパリわからなくなってきましたが…
女は女の生き様に興味有り!
不倫夫をバラバラにした主婦なんて、やりきった感いっぱいで反省してないんじゃなかろうか…とか。
婚活詐欺女は本当に凄いよな…とか。
女って男より情念で生きてますね、ほんと。
瞬発力の高い男の怒りと違い、「外見は静かだけど、圧力鍋の中の沸点たるや!」みたいな女の怒り。
やっぱり松井さん気になる!!


あ、黒く長い髪で女の情念を描いている点、上手いな〜と思いました。
怖いですもんね、髪の毛って。
自殺しようとしている象の絵が重苦しくて一番好きでした。
やっぱり一人で行って良かった。


美術手帖 2012年 02月号

美術手帖 2012年 02月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 美術出版社
  • 発売日: 2012/01/17
  • メディア: 雑誌



タグ:松井冬子
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コメント 6

neeko

松井冬子さん・・・恥ずかしながら知らなくて記事読んだ後調べてみました。
私と年齢ほとんど変わらないこと、その完璧って感じの美しさ、そして作品、驚きばかりでした。
実際に作品を自分の目で見てみたい・・・私もなんだか気になってきました。
by neeko (2012-03-16 08:48) 

funago

neekoさん、私も最近知ったばかりなんですよ〜(・∀・)
新聞で松井冬子展の入場者数が凄いことになっているという記事を見かけ…。
なになに?って調べてみたら、怖いぐらいのお美しさ。
そしてあの世界観。
美しさと怖さって紙一重ですね〜。
あぁ、女って怖いけど面白い。

by funago (2012-03-16 09:05) 

TAMA

松井さん、テレビでお見かけして気になってましたが、
本当に超絶美人ですね。
絵はかなり恐ろしい・・。
でも引き込まれそうです。
夢に出てきちゃうかも?
by TAMA (2012-03-16 09:48) 

funago

TAMAさん、不思議と見てて怖さは感じませんでした。
作者が男性だったら、こんな状態の女性を描くなんて!と怒りを覚えたかもしれませんが…。
女性が描いた絵のせいか、落ち着いて鑑賞できました。

骸骨が横たわってる様子も、「所詮人間だって自然の一部なんだよな〜」とか。
「他の生き物に体を分解され、命をリレーする姿は自然界では当たり前のことだよね…」とか感じたり。

平日でしたが、たくさんの方が観にいらしてました。
by funago (2012-03-16 10:20) 

harudo

何だか惹かれる絵ですね。
「松井冬子」さん初めて知りましたが
気になります!!
by harudo (2012-03-21 22:27) 

funago

harudoさん、たぶん女性だから惹かれると思うんです。
もし男性が描いてたらピンと来なかったと思います、私。
by funago (2012-03-22 06:21) 

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